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あなたには、あなたの立つ場所があり、あなたの目指すものがある。
冬のバンクーバーは、雨の日が多く、緯度のせいもあって、雲におおわれた暗い日が何日も続きます。
その気晴らしも兼ねて、週に2回大きな公民プールで泳いだり、ジャグジーに入ったり、サウナに入って、
汗を流しながら体調管理に努めているのですが、先日、プールサイドである光景に出くわし、
はっと!心がひらめいた瞬間がありました。
その光景とは、お父さん風の水泳コーチと、高校生ぐらいの体格のいい男子が
まさに二人三脚で、タイムを伸ばしてそうと、試行錯誤しながら練習している様子でした。
この時、フラッシュバックのように私の高校時代の部活動の思い出と
部活動を通して学んだことが、よみがえってきたのです。
私は、ソフトテニス部の高校時代、土日も祝日、夏休みのような長期休暇の間も
ほとんど毎日、テニスコートの上で、白球を追いかけてきました。夏になると真っ黒に日焼け、
靴下を脱ぐと、その跡が白くクッキリと残るぐらい練習をしてきました。
その結果は、どうだったかというと市大会でベスト16までに残り、県大会出場まで
行ったのが最高ランクでした。あれだけ毎日の練習してた割には、どちらかというと
一般的な記録のまま、現役を引退することになりました。
現役中は、精神的な弱さから、本番の試合になって練習の時のようなボールが打てず、
納得のいかない試合が続いた時は、高校生ながらにひとりで大泣きをしたことがあります。
でもそんな時でさえ、なぜかテニスを嫌いになったことは、一度もありませんでした。
愛用のラケットを持って、コートに立って、来たボールを打つことが本当に大好きでした。
その当時、少しでも上手くなりたい!いいボールを打てるようになって試合に勝ちたい!とは
思っていたのですが、全国大会で優勝したい!というような大それたことまでは、
ほとんど考えずにやってきました・・・。
今になってふり返ってみると、もう少し大きな目標をもっていても良かったのでは?と
思うこともあるのですが、当時は、そんなことよりも何よりもテニスコートの中で、
ボールを打つことに、心からの喜びを感じていたような気がします。

今回、プールで練習している高校生風の男子も、どんなレベルの記録を目指しているのかは、
泳ぎが素人の私にとって、想像することができないのですが、少なくとも外から見ていて、
コンマ何秒でも、記録を縮めていこうとする姿勢を、コーチからのアドバイスを聞く、
真っ直ぐな表情から垣間見ることができました。
そして、その表情は、本当にキラキラと輝いていました。どこを目指しているかはさておき、
ひとつでも上の記録を目指そうと努力している彼の姿を前に、今の私をふり返る、いいきっかけになりました。
というのも、オリンピックに行けそうにないから、練習はやめておこうか〜とか
自分は、オリンピックのレベルではないから、私は水泳は向いていないとか、
そういう先のことばかりを気にしている考え方でなくて、ひとりの水泳選手として、
「今よりも少しでも早く泳ぎたい!」と望む、彼なりの向上心と集中力を
そこから感じることができました。
一番強く感じたのは、同じ水泳をやっている選手でも、ひとりひとりには、
その人なりに目指す別々のゴールがあるということなんですね〜。

これを人生に置き換えて考えてみると、今生きているすべての人には、
いろんな金銭状況、社会状況、年齢、仕事、家庭など、それぞれ違う中で、
その人が目指す、その人なりのゴールがあるということなのだと思います。
格差社会という言葉が生まれ、人生のゴールを「幸せ」「成功」というような一般的な言葉で
ざっくりと表されることが多い最近ですが、私達には、私達それぞれの幸せや成功というものが
あっていいのだということを心より感じました。
あまりにも今の暮らしの状況から遠いことを求めていたり、願っていたりすると、
毎日を過ごす自分の立ち位置がどこなのかよくわからないまま、地に足がつかないまま、
欠乏感や焦燥感をかられてしまい、ストレスを感じることがよくあります。
高校時代の話にもう一度戻るのですが、あの時、自分の中では、自分のテニスのレベルが
どれぐらいのものなのか、無意識に受け入れられていたと思うのです。そしてそこから
このレベルより、もうひとつ上手くなるには?ということをいつも考えながら、練習してきました。
最終的な結果は、ぱっとしたものでなかったですが、大好きなテニスと一緒にかけ抜けた3年間は、
今でも、ものすごく充実していて気持ちよかったです。そんな風に思えるということは、
私自身も輝いていたと思うのです。

人生や仕事のことになると、部活動のテニスのこととは違って、「生きる」ということや
「お金」という面が出てきて、さすがに全部が全部、一緒にはいかないとも思うのですが、
「今の自分の立ち位置を確認して、まずはそこをとりあえず受け入れてみる。」ということや
「受け入れた自分の場所から見た、もうひとつ上のゴールを目指してみる。」
そんな気持ちの中で、大変なこと、うれしかったことを経験し、いつか自分の人生をふり返った時に、
「なかなか、私ここまでよくがんばってきたな〜」と満足感というか、充実感につながっていく
思い出や記憶になっていくのではないでしょうか?

あたり前の話ですが、水泳をしている選手が皆、オリンピックに出場して金メダルを
獲得できるわけでもありません。また、世の中に金メダルをとれる選手がひとりいれば、
それでOKということでもありません。人間ひとりひとりには、どんなことであろうと、この世を生きていく
この世で仕事をしていく立ち位置(ポジション)があるんだな〜ということなんですね。
遠いところを意識し過ぎて、他の人と比較し過ぎて、その遠さゆえに元気をなくすよりも、
今自分が立っているところを、まずは受け入れてみて、そこから次の一歩のために努力を積み重ねていく。
そんな気持ちで毎日を積み重ねていきたいな〜。そんなことを思い返すきっかけになった
プールサイドでの光景でした。 |